今回、３回目の大人食堂が開催されました。
大人食堂は、労働者の方への手作り食事の提供と、弁護士や労働組合相談員による労働・生活・住居の無料相談会がセットになった屋内炊き出しです。今回は8名の方にご参加いただきました。参加が2回目、3回目の人もいました。労働者の方たちの交流もありました。また、前回参加者の人で、今回は運営に回ってくれた人もいました。改めて、必要な支援であることを実感しており、今後も継続していきたいと思います。
大人食堂には、反貧困みやぎの学生ボランティアが多く参加しています。今回は、大人食堂に参加する学生の感想を紹介いたします。
学生ボランティア 東北大文学部2年生（女性）
私は、反貧困みやぎネットワークのボランティアとして参加しています。普段の学生ボランティアの活動としては、ミーティングと貧困問題・労働問題・相談実務にかかわる学習会を行っています。一方、大人食堂では、加盟団体の仙台けやきユニオンをはじめとして、実際に多くの社会人の方と一緒に、年齢・性別・属性を超えて実践的な活動ができます。
大学生である以上、社会に出たときにどのような状況が待ち構えているのかは知っておくべきことです。また、市民の一人である学生として、実際の社会で生きるための知識として学問を学びたいと日々考えていますし、無力でも微力でも社会と真剣に向き合いたいと考えています。しかし、残念なことに普段の生活の中ではこのような機会が少ないです。そういった意味で、学生目線からですが、大人食堂は社会の現状を知り、向き合い、より良い社会の在り方を模索できる貴重な場だと感じています。
さて、私は大人食堂の立ち上げから学生ボランティアとして関わっていますが、今回はボランティアの仲間が増え、もう一度足を運んでくださる方も増え、運営も要領が掴めてきました。前回は初めての取り組みであったため、「学生が労働者の方々と関わることは可能なのか」など、様々な不安もありました。しかし、取り組みを継続していくうちに２つのことに気が付きました。
まず、学生は無力ではないということ。ボランティアミーティングでの貧困問題の現状に対する分析や議論を通じて、貧困を生み出す社会や政治のあり方に怒りを覚えていましたが、最初は、自分が関われるのは選挙での投票だけなのではないかと考えていました。しかし、大人食堂の運営や準備を通して、社会をより良くするための方法が無数にあることが見えてきました。そのプロセスが目の前で展開される取り組みに自分自身もエンパワーメントされ、その経験から、別の新たな社会活動も自発的に始めることができました。
次に、現状の労働環境に対しておかしいと感じているのは一人ではないこと。そして、大人食堂に参加する労働者の方々も、学生ボランティアも、「どうにかしたい」という思いで一緒に団結できることです。
今回、私は実際に２人の参加者の方とお話をさせてもらいました。そこでは、1990年代の就職氷河期にたまたま就活が重なり、非正規雇用として数々の職場を経験してきたという話を伺いました。「ハラスメントを受けて相談しても、非正規雇用だからと労働組合に入れてもらえない」、「フルタイムで働いても生活が苦しい」、「職場全体が毎日綿密に組まれた仕事を時間内に終わらそうとしているため、ミスをしたら迷惑がかかるというプレッシャーに追い立てられている」など、日々感じていることも話してくれました。
一番印象に残ったのが、「今までずっと働き方に違和感を抱いていたが、誰にも話せずにいた。おかしいと感じている人が他にもいて、こんなに思いを共有できるとは思っていなかった」とすっきりした表情で2人が話していたことです。まさに、大人食堂の意義を感じました。また、「おかしさを感じる人は職場にたくさんいるけれども、声を上げる勇気も手段もない」ということも話されていました。
2人との会話から、「おかしさ」を感じる多くの方々が孤立する社会を変えたいと考えました。自分を責めるのではなく、変えていくという希望を持てる連帯を実現したいと思いました。大人食堂はこれを実現する切り口になるのではないかとも思いました。
以上、長くなりましたが、３回目も成功だったのではないかと思います。未熟な学生ですが、これからも誠実に当事者の方々と向き合っていきたい、意思を同じくする皆さんと対等に協力していきたいと強く感じました。これからも改善を重ねながら、大人食堂からより良い社会をつくっていきたいです。
次回の大人食堂は7月26日（金）18時～20時、福祉プラザにて開催！
次回の大人食堂は、7月26日（金）に開催します！ 場所は福祉プラザです（これまでと会場が異なるのでお気を付けください）。ぜひご参加ください！
第4回大人食堂
日時：7月26日（金）18時～20時
場所：仙台市福祉プラザ9階 大広間（２）
参加費：無料（食事も相談も）
対象：18歳～65歳の労働者および失業者とその家族（お子さんもOK）
※生活・労働無料相談会も同時開催
反貧困みやぎネットワーク 